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中間管理職の男性視点で、仕事に役立つ記事を書いています。
仕事をしない上司、いらない上司、管理職が何もしていない・・・。
いわゆる「働きの良くない上司」に対する部下の不満な思いは、どこの組織でもある風景の1つです。
私も会社員として長年仕事をしてきた中で、そんな上司や管理職を数多く見てきました。
漠然とそのような考えを巡らせていたとき、仕事をしない課長・上司は世の中に9割いるという記事を見つけました。
▼「部下に仕事を振るだけ」9割の”いらない管理職”は、何のために会社に来るのか
「9割なんて大げさな・・」と思う方も多いでしょう。
ところが、私自身の実体験でも、尊敬できた管理職は多くは無いように思いますし、むしろもっと少ないと思います。
エン・ジャパンの1万人が回答!「上司と部下」意識調査―『エン転職』ユーザーアンケートによると、「今までに尊敬する上司に出会ったことはありますか?」に対して、以下のとおり回答がありました。
これを見ると、どの年代でも70%は尊敬できる上司に出会ったことがある一方で、30%は尊敬できる上司に出会ったことが無いということです。
「尊敬できない上司」 →「 管理職いらない」というロジックと考えれば、この30%の中に、仕事をしない上司、いらない上司、働かない上司が存在していると思われます。
とはいえ、いらない管理職が9割という数字は少し大きい感じもしますので、上の記事はおそらく「経営者サイドから見た管理職不要論」と言えるんじゃないかと思います。
私自身も管理職として仕事をする中で、わが身を振り返り、”いらない管理職の9割”にならないためには、どのように仕事をし、どんな意識を持てば良いのか考えていきたいと思います。
目次
仕事を割り振るだけの上司はいらなくなる
仕事を割り振りすることは、上司の役割の1つです。
ところが、組織規模の縮小や人員削減という状況下にあっても、機械的に部下に仕事を割り振るだけの上司は不要です。
それは、「何も考えていない」ことと等しいからです。
このような上司は、部下が長時間労働になっても「部下の仕事のやり方が悪い」、「効率的に仕事をしていない」というように部下の責任に仕立て上げ、部下がつぶれても何も対策をとりません。
ところが残念なことに、組織的からは上司が守られる立場になりますので、上司の上司(例えば部長)に上手く取り入ることができれば、「部下が無能だ」、「部下は何をやってもダメだ」と言えば、そのまま部長は信じることが多いです。
部長にチェック機能や、周囲との360度コミュニケーションが出来ていれば、以上のような茶番はすぐに見抜かれますが、「課長を信頼して任せている」と盲目状態になります。
それが組織にとっては、誤ったマジメントに気付くことなく、大きなダメージを受けることになります。
以上から、機械的に仕事を割り振るだけの上司は、「何も考えていないから別にいらないのでは?」というロジックになるのです。
存在する意味が無くなると上司は不要となる
部長なり、課長はそれぞれ役割を持っています。
☑ 部長は、組織のビジョンや方針に沿って部門の将来を見据え、事業計画を策定し、各課長とのコミュニケーションを通じて部門の戦略に落としこみます。
☑ 課長は、戦略に沿ってチームのメンバーを動かし、行動、実践し、成果を上げるためのマネジメントを行います。(課長が計画の策定→戦略を考える場合もあります。)
以上のPDCAを実践し、組織の事業サイクルを良い方向に持って行く役割と機能を持っています。
ただし、オーナー企業や中小企業では社長の意思決定が強く、部長や課長とはいえ、何も口出しできず、単なる名ばかり役職がついているだけということも、多いものです。
とはいえ、役割りを担うために、部長なり課長という役職と待遇を得ている以上、存在する意味がなければ、”いらない管理職”になってしまうのです。
席にいるだけ、ハンコを押すだけの上司はいらなくなる
管理職の中で一番コストパフォーマンスが悪いタイプとして挙げられるのが、ハンコを押し、承認をするだけの存在です。
最悪なのは、気に入らない部下の書類にケチを付け、一字一句の揚げ足をとる指摘をし、何度も修正を求めて部下の仕事が進まないようにする上司です。
このような上司はチームのモチベーションを下げ、生産性を大きく引き下げる「悪上司」であり論外ですが、多くの組織には普通に存在しています。
一方で、品質管理上で書類の1次チェック、2次チェックはすることはあります。逆に品質管理を行わず、対外的な文章のミスを放置すると、組織体制を疑われることにもつながります。
ただし、働かない上司は、そのような次元で仕事をしているのではなく、自分が部下の仕事を指摘することによって自分の優位性(マウント)を示すことだったり、自信の無さを隠すことに利用します。
方向性を指し示し、戦略を立て、実行する
課長は、チームの方向性を指し示し、戦略を立て、実行する役割を持っています。
これは本店であっても支店であっても、同じ役割を持っています。
「ライン外の課長」や「部下なし課長」であれば、以上の役割がありませんが、それ以外の課長は全て共通であり、次長も同様です。
課長のマジメントはチームを動かし、1人の力では小さな成果しか出せないことを組織の力を使って何倍も大きく成果に結びつけることです。
以上が出来ていれば、課長は何もやっていない、仕事をしていないと言われることは無くなりますし、「9割のいらない管理職」ではなく「組織に必要な1割の管理職」になります。
経済法令研究会の管理職のあり方とリーダーシップには、大事なことが記載されています。
リーダーである管理者とはメンバーである部下それぞれの能力を最大限に引き出し、その力を結集して、組織の目標を達成していくことが最大の使命だといえます。
管理者だけが優れた能力を持っていたとしても、それだけでは組織の力は発揮されません。
また、部下それぞれがたとえ高い能力を持っていたとしても、これがバラバラでまとまりがつかないのでは、チームの力は弱体化してしまいます。
この個人の力をいかに組織力として結集していくかが重要なポイントとなり、そこにまとめ役ともいえるリーダーの存在意義が問われてくるのです。
よく組織の力とは、1+1=2ではなく,そこに出てくる値は3にも4にもなるものであるといわれます。
確かに、2人の人間がいて2人前の仕事だけしているのでは、真の能力が発揮されているとはいえません。この2人が力を合わせて能力を発揮していくことで、3人前あるいは4人前の仕事をなし遂げるということが可能となるのです。さらにこれに別の1人が加わり、3人で協力していけば、その力は5人分、6人分にもなっていくものです。
これこそが組織力、チーム力といえるのです。
(出典:経済法令研究会 – 管理職のあり方とリーダーシップ)
上記のpdfを読むだけでも、管理職の勉強になります。
また、マネジメントの原点は、1886年エール・ロック・マニュファクチャリング・カンパニーの共同創業者ヘンリー・タウンが概念が生みだし、以降ドラッカーがマネジメント論を一般化し、現代にかけて普遍的な技術としてきました。
管理職として大事なことは、ドラッカーが全て教えてくれますので、ぜひ覚えておきましょう。
当メディアでも、管理職としてのリーダーシップを身につける方法を詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。
部下と同じ仕事をし、一緒に汗をかけば良いわけでは無い
課長になると、部下と同じ目線に立つために、実務レベル(プレーヤー)の仕事をしてしまいがちです。
課長が実務をして良い場合は、
☑ 組織の業績が悪化し窮地におちいることで、一時的な人員不足の場合
☑ 部下が急に休んでしまった場合
☑ トラブルなどの緊急時
☑ 人事異動によるメンバーチェンジでチーム内の業務が不安定な場合
以上と決めましょう。これ以外で実務レベルの仕事をすると、課長の本来やるべきマネジメントの仕事が出来なくなります。
ところが、日本の組織の多くが「課長が部下と同じ目線で働くことを美徳する風潮」があります。
「課長も部下の目線に立ってがんばっているな・・!」という時代は、もはや遅れていることを認識しましょう。
なぜなら、課長は部下と同じ給料をもらっているわけではなく、それ以上に給料をもらい、責任を負っているため、部下と同じ実務の仕事をしていれば、組織に貢献できず生産性が悪化します。
部下と同じ仕事をするなら、それはマネージャーではなく管理職でもなく、部下なのです。
部下の育成とチームへの貢献を意識しよう
課長などの管理職は、部下の育成は必須です。
部下を育成し、チームに貢献することができなければ、永遠に自分が手足を動かして働き続けなければなりません。
課長はマネジメントの立場にありますので、自分の手足を動かす働き方から、部下に動いてもらい、成果を出すという意識に変えていきましょう。
という私も、部下に強硬で高圧的な指示を出したり、細かいことを何でも部下にやらせるということはしません。
具体的な部下の育成イメージとしては、
☑ 自分で考えて動ける部下を増やしていく
→ 指示待ち部下が増加すると、全てを自分で指示・判断しなければならなくなるため、自分の業務時間が少なくなり、マジメント業務に影響します。部下が自分で判断できる余地を残ししながら、迷ったときは相談できる体制を作っていきましょう。
☑ 信じて任せる
→ 信頼度の高い部下は、「信じて任せる戦略」をとります。一部の範囲について自分で判断して動いて良いと伝えると、部下は活力を持って働くようになります。もちろん、それが出来ない部下には任せることはありません。
☑ ノウハウはきちんと教える
→ 職人気質の管理職は「俺の仕事を盗め」ということをしますが、意識の高い一部の部下を除いて大多数の部下は出来ません。働くことに対してハングリーのある部下を除いて、ノウハウは体系的に教えることを意識しましょう。
☑ ゴシップに好きな社員の話しには乗らない
→ 仕事ができる、できないにかかわらず、チームの中にゴシップ(噂)好きな部下がいると、チームに少なからず影響が出てきます。特に悪い噂や事実に無いを噂を広げようとする部下もいますので、注意が必要です。
また、いわゆる負けず嫌いで自己顕示欲が強い社員は、相手を強く否定して自分の優位性を高めるということをしますので、どんなに信用している部下でもそのような話には乗らないことを意識しましょう。
☑ 成果が出たらほめる、成果が出せない部下は行動したらほめる
→ 部下が成果を出したら、必ず褒めましょう。部下は褒められることで「成功体験」ができるので、行動が強化されます。反対に成果がなかなか出ない部下は、行動量が少ないことが多いので行動に対して褒めることを意識していきましょう。行動褒められた部下は行動に対する成功体験ができるため、やがて成果が出るようになります。
1つ注意点があるとすれば、何でもかんでも褒めるようなことはしないことです。ほめられることが少ない自尊心が低い部下をほめ過ぎると、急激に満たされた自尊心があふれ出し、チーム内でマウントや攻撃に変わることがあるからです。
リクルートマネジメントソリューションズの、マネジメント人材育成ブック【3】成果をあげるミドル・マネジャーとはには、とても学びが深い内容が書かれてありました。
成果を上げるミドルマネージャーは、一人ひとりの長期育成プランを考えるとともに、風通しの良い職場づくりに腐心している
成果をあげるミドル・マネジャーは、ほぼ全員が「メンバー育成」に大変力を入れていました。特徴的だったのは、メンバーが今すぐに必要とするスキルや知識だけでなく、長期的な成長の土台となる「基本的なスキル・スタンス」や「物事を俯瞰する能力」を育成しようとするミドル・マネジャーが多く見られた点です。
各メンバーの特徴を捉えて、長期育成プランを考えているマネジャーも珍しくありませんでした。彼らは、その長期育成プランを踏まえて、一人ひとりの将来につながる仕事を割り当てていました。勉強会や振り返りの機会を設けたり、専門性の高いリーダーにメンバー育成を任せたりして、職場全体で学びを起こそうとする取り組みにチャレンジしているマネジャーもいました。
(出典:マネジメント人材育成ブック【3】成果をあげるミドル・マネジャーとは – リクルートマネジメントソリューションズ)
以上のように、部下を育成しながらチームに貢献する施策をとっていくことで、”管理職いらない”とは、絶対になりません。
むしろ、マネジメント力が発揮できているため、組織に必要な1割の上司になるでしょう。
以上、「仕事をしない課長・上司」”いらない9割の管理職”にならないためにやるべきことでした。
以下の記事では、管理職としてのコミュニケーション能力を身につける方法を詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。
ではまた^^
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