2019年4月1日から「働き方改革関連法」が施行されました。
簡単に言いますと、
残業時間が月45時間、年360時間が上限値(原則)に設定。
ということです。
その他にも、有休休暇を5日取得させなければならないことや、正規社員と、非正規社員の不合理な待遇差の禁止などがありますが、今回は省略します。
ちなみに、私は「就職氷河期世代」であり、社会的には大変な状況で会社員人生をスタートしました。
当時は、ダラダラ残業や理不尽な働き方が蔓延していました。
反対に、私は入社当時から残業が嫌いだったこともあり、「先輩同僚の仕事を大量に引き受けても良いし、成果も上げるので早く帰らせて欲しい。」と発言し、周囲を困惑させたこともありました。
そのスタイルを持っていたので、組織内部では衝突が激しかったように思います。
でも、私は仕事を極限まで早くこなし、残業をほとんどせずに定時退社してきました。
今回、2019年4月1日から働き方改革関連の法律施行にともない、私としては何も困惑することなく素直に受け入れたように思います。
今は、管理職としてどうやったら残業を減らすことができるか、当事者の立場にあります。
また、管理職は働き方改革の残業規制を受けませんが、労働時間の把握の義務化が適用になります。
つまり、部下と同じように定時退社を目標に仕事を進めなければなりません。
私が管理職として仕事をする中で実践した方法を、かなり突っ込んで具体的にまとめていきます。
✔この記事で分かること
✔ 管理職目線で、部署内の残業時間を減らす方法
✔ 残業を減らすと同時に、生産性と効率を上げる方法
✔ 自分自身も定時で帰宅し、ストレス解消や健康になること
では、早速まとめていきましょう^^
基本的スタイルや考え方
まずは、基本的なスタイルや考え方から説明していきます。
仕事の中でムダ話も少しできる時間も作りつつ、生産性を上げて笑いながら成果を出すという方針を立てる
現代のサラリーマン社会には、違和感を覚える方も多いと思いますが、私の考え方は以下のとおり整理しています。
・極限まで仕事を効率化させることで、時間が生まれる。
・その時間は「ほんの少しのムダ話」にあて、人間関係を円滑にする。
・もう1つの時間は、考える仕事や前向きな仕事(新規事業、アイディア構築、企画)に頭を使う。
・1年を通せば、生産性が上がり業績は上がる。
という考え方であり、方針です。
だからこそ、「笑いながら結果を出す」ということが言えると思います。
取りたい時にとれる有休こそ「本当の有休」である
有休はとりたい時にとれるように、仕組みを変えます。
職場で思うように有休がとれないということは、
・仕事の配分や仕組みが間違っている。
・組織として仕事が機能していないか、どこかに欠陥がある。
・人間関係が悪化している。
人手不足の場合も、もちろんあるでしょう。
ただ、子供が風邪を引いた、家庭内の急用、子供の授業参観など、どうしても休まなければならない場面があります。
そんな時に、気兼ねなく有休をとれるようにしていきます。
管理職が残業を減らす意思が無いと、残業は絶対に減らない
管理職が「残業を減らしたい」という意思や意欲が無ければ、部署の残業は絶対に減りません。
ある程度トップダウンの意味合いが強いからです。
というのも、部下の中には、
・給料が少ないので残業して稼ぎたい。
・家庭内に問題があり、家に帰りたくない。
という部下もいます。
ですので、定時で仕事を終わらせるという気持ちが薄く、ダラダラ仕事をしがちです。
だからこそ、管理職が強い意思を持って残業を減らすという気持ちが無いと、絶対に減らないものなのです。
合理的に仕事を進めないと残業は減らない
私が就職したのは、就職氷河期時代です。
社会的には厳しい就職難でしたが、いざ仕事をしてみると合理的な働き方は無く、現代よりも非合理な面が多かったように思います。
例えば、
・仕事以外に必要のないことを強要する
・仕事をサボる
・どこか牧歌的でゆるい
また、意地悪やイジメも同じです。
意地悪やイジメを受けると、モチベーションは一気に下がるだけでなく、働くことすらできなくなります。
このような非合理ともいえる部分は、社会的な雰囲気や、働く世代の人数的多さもあったと思います。
ただ、2019年の現代では、ムダを最大限まで排除し、合理的に仕事を進めないと絶対に残業は減りません。まるで環境が異なるのです。
仕事を進めながら、常に効率と生産性を考えながら仕事をする
ただ、組織の管理職はすでにあふれ出すほど仕事を持っています。
働き方改革で、部下を早く退社させなければならないということは、部署全体の仕事の見直しや効率化が必須となります。
そのためには、仕事を進めながら「常に効率と生産性を頭に入れて仕事をする」ことが大事です。
イメージとしては、
・今の仕事をもっと仕事を早くする方法はないか、
・ムダな仕事の進め方はないか、
・手書きばかりにこだわっていないか、電子化できないか、
以上のように考えながら、仕事をしていきましょう。
例えば、私の取引先の傾向を見ても、中小企業は紙ベースやFAXが多く、大企業や全国規模の組織になると徹底してペーパーレス化やメールをしています。
また、会議でもわざわざ一ヶ所に集まらず、web上の会議で済ますことも1つの方法です。
これだけでも、まだまだやることが見えてくるのではないでしょうか。
定時退社するための具体的な方法
それでは次に、残業しないで定時退社するための「具体的な方法」をまとめていきます。
「残業代は払えないので、徐々になくしていきます。」と宣言しよう
「残業代を払えない。今は残業しているけど、徐々に無くしていきます。」と言うのが良い方法です。
会社として、割り増した賃金は払えない意向を示すことで、部下は定時で帰るしかなくなります。
ただし、業種や部署によってはすぐにできないこともあるでしょう。
ただ、法律上ではすでに月45時間以上は働けないことになりますので、四の五の言ってられません。
管理職が口で宣言することで、きちんと自分が対応するということを示しましょう。
私の経験上でのデメリットとしては、部下は早く上がるようになりますが、反面、安易に仕事を引き受けなくなります。
残業ができないので、当然のこととも言えます。
だからこそ、仕事の効率化は必須になります。
逆に言えば、仕事を効率化し、時間的に余裕が生まれれば部下は仕事を引き受ける余裕ができます。
残業をしない雰囲気になれば、部下は付き合い残業をする雰囲気(忖度)から解放される
部署全体や会社全体が、残業しない雰囲気になると、部下は付き合い残業をしなければならない忖度(そんたく)から解放されます。
法律による残業規制は、多くの働く人にとって良いことにつながればいいと思います。
上司の意向や、周囲の雰囲気を気にしすぎることは、やがて時代に置いて行かれることになるでしょう。
そのような時代は、もう終わったのです。
少しでも残業したい部下への対処法
時代の流れとは反対に、部下の中には反対に少しでも残業したい部下がいます。
例えば、
・給料が安いので、残業をして収入確保したい
・時間をかけても良いので、仕事をしっかり覚えたい
・家族間に問題やトラブルを抱えているため、家に帰りたくない
こういった事情を抱える部下は、残業できないことに不満を持つでしょう。
ただし、先ほどから言っているように残業時間の規制がある以上、悠長なことは言ってられないのです。
こういう部下には、「鬼」になって帰らせるしか方法はありません。
普段の言動や行動をよく観察しながら、残業の実態を把握していきましょう。
役割と担当を明確にする
残業を根本的に減らし、いらぬ人間関係のトラブルや優秀な部下の不満を減らす方法は、「役割と担当を明確にすること」です。
今までの日本の組織の働き方の多くは、
・みんな一緒で、年功序列
・仕事に人がつくのではなく、人に仕事がついて回る
・役割があいまいで不明瞭
・トラブルや問題解決、新規事業などは結局できる人がやる
以上のような、あいまいな部分を極力排除していきます。
役割と担当を明確にすることとは、「あなたはこの仕事を与えます。」で「この役割を担ってもらいます。」と指示を出し、紙に書き、共有することで、部下は与えられた仕事をするようになります。
仕事と役割に「人」をくっつけることで、おのずと自主性と責任感が生まれ、残業は減っていくでしょう。
管理職が仕事のレールを敷き、部下ができるように難易度を落とす
部下の中には、必要以上に失敗のリスクを恐れて、新しい仕事を引き受けない人がいます。
仕事のできる部下は、仕事を丸投げ(任せる)しても自分で調査を行い、社内外との調整を図って仕事を進められます。
このような部下は、逆に細かく丁寧に説明することを嫌がるため、方針やゴールだけを示して仕事を振った方が良いでしょう。
ただ、現実はそういう部下ばかりではありません。
このような場合、部下でも仕事が進められるように仕事を簡単にしたり、細分化して一部の単純作業のみ与える、電子化するなど、仕事の仕組みを簡単にして難易度を落とすと良いでしょう。
これが、「仕事のレールを引く」ということです。
まとめますと、
・優秀な部下 → 方針を示して仕事を任せる
・普通な部下・仕事のできない部下 → 仕事の難易度を落として仕事をさせる
以上となります。
この繰り返しで、部署の仕事はスムーズに回るようになるでしょう。
朝早く出勤し、仕事を進める
管理職になると、時間やスケジュールにはよほど気をつけないと、あっという間に時間が流れていきます。
電話やメール、相談、説明、会話、会議など、自分の仕事に集中する時間を奪うものは沢山あります。
このような場合にオススメなのは、1時間早く出勤し、就業時間までに仕事を片付けることです。
1日1時間×20日間であれば、残業時間は20時間ですので、残業時間規制内(管理職は適用外でもイチ労働者として)です。
1時間早く寝て、1時間早く起床し、1時間早く仕事をすることで、集中して仕事を片付けましょう。
これで、自分を含め、チーム全体として定時で帰宅できるようになるでしょう。
関連記事・「朝活」で人生を変えよう!朝活のメリットまとめ
即決で判断する
仕事の効率を上げて、定時帰宅をするためには「即決で正しく判断すること」も方法の1つです。
管理職にありがちなのは、部下の相談に判断できず放置することです。
管理職の判断を待っている部下は、仕事がストップしてしまい、仕事が回らなくなります。
相手がいる場合は、クレームや問題にも発展するでしょう。
ただし、管理職が全てを判断できるほど仕事はカンタンではありません。
例えば、
・異動したばかりで仕事が分からない
・判断できる範囲を超えている
・部下が優秀すぎて、求められる仕事の判断レベルが高い
以上の場合は、判断できません。
無理に判断せずに、さらに上席に判断を求めた方が結果的には良いと思います。
ただ、これでもまだ落とし穴があり、
・上席が判断できない。する気がない。
・イチイチ聞くなと煙たがられる。
感情論の問題もあるでしょう。これが、ビジネス社会の現実問題でもあります。
結果的には組織として決断できなくなり、組織として仕事を放置し、全体として停滞していきます。
こうならないようにするためには、
・異動したばかりで仕事が分からない
→ 無理せず1年間コツコツ仕事を積みかさねる。
・判断できる範囲を超えている
→上席とコミュニケーションをとり、判断するための情報を入手し、自分が判断する。
・部下が優秀すぎる
→分からないものは分からないので、他にあたって欲しいと言ってみると、優秀な部下は自分で調査し、動くようになります。
以上のような対応を繰り返すことで、管理職として即決判断できるようになり、やがて部署全体の生産性は向上し、定時で帰宅できるようになります。
仕事の記録、共有は必須
定時で上がるためには、仕事の記録と共有は必須です。
仕事は毎年1回の仕事、月1回の仕事、週1回、毎日に区切ってやる仕事があります。
例えば、1年前に作成した書類は、何を根拠にどのように数値を使って作ったものか記録しておかないと忘れることがあります。
また、人事異動で人が変わってしまえば、ますます分からなくなり、前任者に確認するムダな時間が発生してしまいます。
例えば、以下のように毎日残業しても終わらない事態が発生し、やがて力尽きることになります。
一度体を壊すと、仕事の生産性や効率が通用しない苦しい世界で、仕事をしなくてはならなくなります。
また、仕事の共有は、自分一人だけで抱え込むこと無くメンバーに共有することも大事です。
何が何でもすべて共有する必要はありませんが、関連性の高いメンバーにメールを転送するだけでも共有になります。
まとめ
最後に、定時で上がるための方法を、ポイントにしてまとめていきましょう。
・2019年4月1日からの働き方改革関連法の施行にあたり、月に残業時間が月45時間、年360時間が上限値(原則)に設定され、
・これにより、組織として残業を減らすことが必須となった。
・残業を減らすためには、仕事の生産性を上げ、効率を高めることが必要。
・そのためには、管理職自らが旗振り役となり、
・合理的に物事を進め、即決で判断し、役割と担当を明確にすることや、仕事の細分化やレールをいて難易度を低くして部下に仕事をさせる。
・さらに仕事の記録と共有で、ムダな時間を削る。
大事なことは、毎日のことをコツコツ積みかさねることです。
1年、2年と時間が経過するうちに、ムダな時間がこそぎ落されて、仕事がスリムでシンプルになっていきます。
同僚とコミュニケーションをとる時間も増えてくるでしょう。
結果的に残業時間が減り、定時で上がれるようになります。
自宅に早く帰ることができれば、家族とのコミュニケーションが増え、ストレスを減らし、健康を取り戻すことも可能になります。
ぜひ、「絶対に定時で上がる!」という強い意志を持って、取り組んでみてください。
以上、「残業しないで定時で帰宅!現役管理職が編み出したチームの定時退社方法まとめ」をこれで終わります。
ではまた^^
課長・管理職の役割や仕事術をまとめたページを作りました!
部下や上司との人間関係、問題やトラブル、課題、新規事業、人材不足による長時間労働など、多岐にわたる問題にお役立ていただければ幸いです。
(※この記事も掲載しております。)
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