課長は、仕事の役割分担を決め、部下に業務を遂行をさせることが仕事です。
部下に仕事を割り振りし、それぞれの目標を達成させることで、課長としての大きな目標を達成することが出来ます。
単純に言えば、部下5人に10の目標をそれぞれ与え、達成すれば50の目標を達成することができます。
逆に課長1人で15の目標が達成できるとしても、1人では15にしかなりません。
これが、組織を使って物事を大きく成し遂げる仕事の進め方です。
今回は、課長のマネジメントの1つである、部下に仕事を配分し、役割と責任感を持たせるコツをまとめていきたいと思います。
では、早速いってみましょう!
目次
仕事のジャンルを整理し、明確にすることから始めよう
仕事のジャンルが整理されていない場合、まずはきちんと整理することから始めましょう。
例えば、営業、営業事務、総務、企画、法務など部署の中でも、仕事が明確に仕分けされていないと、部署の仕事が上手く回りません。
具体的には、若手の営業担当者が、総務の仕事も一部やっていたり、年齢が若いというだけで事務の仕事もやらされているという状況となると、先輩が後輩に仕事を押し付けて楽をし、後輩がいつも大変というような状況になります。
これでは組織全体として効率が悪く、生産性も悪化します。
大企業では、仕事のジャンルは随時アップデートされ、部署にそれぞれの役割を持たせることで生産性を高く保っています。
優秀な部下は「いつも忙しく」、優秀でない部下は「いつも暇」ということを防ぐために、まずはジャンルを分けましょう。
具体的なイメージとしては、
(総務)
・伝票整理、文書管理
・旅費等の稟議を書く
(法務)
・契約書の確認、審査
・法令変更の際の調査
(営業)
・顧客へのアプローチ
以上のように、仕訳していきます。
ジャンルの整理を日々意識して整理していないと、事務の苦手な社員に事務系の仕事を与えることとなります。
当たり前のことのようですが、一度、業務分担を確認してみることをオススメします。
仕事の担当と役割を明確にする
次に、ジャンルで分けられた仕事を、部下に配分していきます。
明確にする理由は2つあります。
☑ 仕事の担当をあいまいにしないことで得られるメリット
仕事の担当をあいまいにすると、必ずと言っていいほど「自分だけ楽をしようとする部下」が出てきます。
そうすると、優秀で仕事が出来る部下には仕事がどんどん増えていき、やがて不満を抱くようになります。
優秀な部下の給料が高く、優秀でない部下の給料が安ければ不満は出ませんが、日本企業のほとんどは「みんな一緒」のメカニズムであるため、優秀な部下の不満は増大していきます。
そうならないようにするために、仕事の担当と役割を明確にするのです。
☑ 責任感を持たせる
仕事の担当と役割を明確にする理由の2つ目は、責任感を持たせる意味があります。
責任感のある部下は、仕事の担当で変化があると自ら対応しますが、責任感の無い部下は、「自分に与えられた仕事ではない」と発言し、何もアクションせずに放置します。
結局、その放置された仕事は、課長や係長がフォローしなければならなくなります。
そうすると、課長や係長の仕事量が増大し、本来自分がすべき仕事ができなくなります。
多少大げさでも良いので、運営方針を明確にする
仕事の業務分担・役割分担を決める時は、部署内の運営方針を明確にすることもオススメです。
会社には全体としての方針や戦略があると思いますが、部署だけの方針を決めましょう。
具体的な方針は、イメージ化しやすいものが良いでしょう。
☑ 誰にでも挨拶できる課を目指そう!
☑ 職場の環境を改善して、社員が働きやすい環境を作ろう!
☑ 市内(県内・業界内)ナンバーワンを目指そう!
☑ 新商品の開発を1ヶ月1回リリースする!
え?こんなこと・・と思う部分もありますが、意外にできていないことも多いです。
達成したら、次の課題を見つけ出し、方針に設定すると良いでしょう。
部下の性格や能力を1年で把握し、できるだけ性格に合った仕事を与える
部下の能力や性格を把握することも、課長のマネジメントに使え、業務分担や役割分担を決める際の判断に使えます。
部下の性格は本当に様々です。
☑ 性格が明るく話好きで協調性があるが、事務が苦手
→ 営業、調整役にする
☑ 何を考えているかわからず、協調性が無く、コミュニケーションが苦手なものの、事務は正確で早い
→ 人との間に立たない経理入力、監査等の資料作成、調査分析統計役にする
☑ 後輩の面倒見が良く、気が利くタイプ
→ リーダー役として抜擢し、社員の面倒を見る役か、課長の側近にする
以上のように、部下の大体の性格を理解することで、得意な仕事を与えたり、才能を伸ばし、向かない仕事をさせないようにするための方法の1つです。
ぜひ、課長になったら1年くらいで部下の性格を把握できるようになると、マネジメントの質が良くなります。
リーダーを決める
業務分担・役割分担を決める際には、リーダーを設定しましょう。
社員が多く、公式的な役職(係長や主任)を持つ人が少ないと、どうしても社員同士の結束を高めることができません。
もちろん、係長や主任がリーダーとしての機能を果たしている場合は、リーダーを設定する必要ありません。
社員の中からリーダーを決める時には、前項のように後輩の面倒見がよく、気が利くタイプを指名すると上手くいきます。
リーダーに向いている人を選ぶと、枠組みにきちんとハマり、何かあったら課長に随時報告してくれたり、マメに相談を持ち掛けたり、課長の指示をスムーズに伝達してくれるようになります。
リーダーが、公式的な役職を持たない場合は、「頼りにする」という感覚で接すると良いでしょう。
法令や時代の変化による特別な対応は、自分の仕事と関連付けるように意識させる
現代は時代のスピードが速く、法令や法律、規則が目まぐるしく変わっていきます。
昨日までは良かったことが、いつの間にか規制がかかって出来なくなることもあります。
同じ仕事をそのままやっていても、陳腐化し、世の中に受け入れられないサービスを続けてしまい、売上減少にもつながります。
部下に仕事を分担する場合は、必ず自分の担当に変化があったら、報告させ、調査を実施、どうやったら解決できるかを考えるように言っておきましょう。
逆にそうしないと、仕事が変わっても、課長任せで自分には関係ないと言い出したりする部下も出てきます。
これは、自分の担当は、自分で責任を持たせるということでもあります。
仕事を関連付けさせるという意味で、ぜひ言っておきましょう。
課長にしかできない仕事を宣言する
以前の課長は、仕事ができなくても部下に指示・命令をすれば、何でもやってくれましたし、マネジメントをするフリをして実際には何もしなくても、業績が上がっていきました。
でも、現代のように高齢化社会で経済が縮小し、かつグローバルな世の中になった今では、本当の意味でマネジメントできるようにならないと組織は必ず衰退します。
また、SNSのように透明性が高く、情報を隠して置けない世の中になった今、「仕事をするフリ」とか「実際は遊んでいる」ということは通用しません。
むしろ、それが部下に分かった瞬間、相当の批判と下剋上が目の前にあることを理解しておきましょう。
課長は課長にしかできない仕事があります。
経営者への進言や事業計画の立案、内部調整、マネジメント、問題解決、新規事業など、「自分はこの仕事をする」ということを明確にしましょう。
例えば、課長がやっていた仕事を部下に業務分担をするということは、自分が楽をしたいからではありません。
自分にしかできない仕事に、時間を割くためです。
部下の意見を聞き、話に耳を傾け、良いと思うものだけ採用する
日本人に多くみられる傾向ですが、意見を振られなければ、自分から意見を言わない部分が見受けられます。
これは、出る杭が打たれることを恐れるためです。
そのため、業務分担に見落としがあったり、意見を出してもらいたいときは、あえて「○○さんはどう思う?」と意見を出すようにうながします。
そうすると、意外に建設的な意見を持っている場合もありますので、「なるほど!」と思ったらすぐに採用しましょう。
もちろん、部下の中には、自分のエゴ目的で意見を出す人もいますので、その場合はピシャリと注意しましょう。
良い意見は積極的に拾い上げることで、部下に当事者意識が芽生え、やらされ感が無くなります。
役割分担は次の機会に向けて、随時、アップデートする
以上のように、役割分担・業務分担を決めたら、次の機会に向けて随時アップデートしていきましょう。
例えば、業務量が過大で、部下が長時間労働になってしまう場合、業務を細分化して、他の部下に分けることを検討したり、新しい仕事が出てきた場合、次に誰にやってもらうかなどをメモし、記録しておきます。
役割分担をアップデートしていくことで、次回の分担タイミングではより大きな成果を出すことができるでしょう。
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